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WB新刊レビュー
ウィザーズブレインの新刊「落日の都 下」が発売になって3週間が経ちまして。
そろそろレビューの一つでもブチあげてみるかと思い立つ管理人です。

……というか、今の今まで感想を書く気になれなかっただけなわけですが。テンション的な問題で。
てなわけで、まだ新刊を読む勇気がなくて積んである読者諸兄は即ブラウザバックしてくださいな。

や。とにもかくにも読後感の悪いことこのうえない巻でしたねぇ。あの兇筬靴茲蠅盡緻0い、ってよっぽどのことだよトニー。「奇跡も魔法もあるけれど、夢も希望もないんだよ」って。そんなどっかの鬱アニメのテンプレをこれでもかと思い出しました。
ま、本当に夢も希望もないのかは、この後のエピソード展開にかかっているのでしょうが。

では、とりとめもない感想を以下に。


今回のエピソードは世界再生機構とペンウッド教室回だったのかな、と。
祐一を筆頭に、エドファンメイやヘイズクレア、イルの活躍するシーンがよかったです。前巻のラストからこっち、シティ側も賢人会議側も身動きが取れない状況で続きましたからね。こういう時こそ第三勢力の面目躍如ってやつです。誰かがピンチに陥ると上記の面々が颯爽と現れるあたり、ものすごくライトノベルっぽくて安心感がパなかったですよw

そんな第三勢力の力を賢人会議が借りる形で物語が進んでいくのですが。ここにきてようやくWBの主要メンバーが一堂に会し、決定的な破局を回避すべく一丸となって事態に対応するシーンが描かれたわけで。ほんと、長かったぁ……。三年間も待たせやがって。メガネくんの気持ちが痛いくらい分かる今現在。やれやれ、だ。

水面下でいろいろと動く大人たち――プランナーやルジュナにリチャードの面々もよかったですよ。特にリチャード先生がナイスでしたねぇ。主要メンバーの中で一番バランス感覚があるのでは。
もしもWB世界のいずれかの勢力に属することになりましたら、私はリチャード先生の下でペンウッド教室の面々とワイワイやってたいですねー。あそこが一番楽しそう。あ、でもメイちゃんの手作りクッキーだけは勘弁なw

その一方で、残念な大人もいるわけで。
リンリーさんはねぇ……骨太の政治家ってことでちょっと期待していたのですが。イタい発言が目立った印象で。
というか、アレなんなの? 政治だのなんだの仰々しく嘯いておりましたが、はてさて。自分の思う方向へ民衆を扇動しておいて、その責任はすべて自分を議員に選んだ民衆にあるとか、いったいどの口が言うのか。自分の思わぬ方向へと事態が動きクーデター勃発となったら「これも民の選択か」とか。もうね、バカかと。「人類の無意識ガー」とか叫びつつアーマーンを使って世界滅ぼしちゃうようなハゲがいましたけど、どことなく似た印象を受けました。まあ、私だけでしょうが。

策謀を巡らすならアニルや真昼もそうなのですが、やり方が汚いんですよね。二人に比べて器の小っちぇえ男だなぁ、と。政治屋としては一級かもしれませんが、人としてはどうよと思いました。こんなのでも第一線の議員やっているあたり、シンガポールの人材不足には目を覆いたくなりますね。まあ、神戸はそれ以上に悲惨でしたが。あっこは七瀬静江バァちゃんのほぼワンマン経営でしたから。だから滅びた。

残念なことに、これまで私は「WB世界に嫌いなキャラなんていない」と公言しておりましたが、今回のリンリーさんの言動をもって前言撤回せざるを得なくなりました。なんてこった。デラーズ閣下によく似ているから好きになれると思っておりましたのに。似て非なる、とはまさにこのことさねトニー。

ですが、そんなリンリーさんよりも更に私の不興を買った残念な大人が二人ほどおりましてね。ええ、神戸工作員の佐伯准尉に武藤上等兵の二人ですよ。……ったく、あの真田大尉の部下にどうしてこんな愚カブが二人もいるのか。
意図せずして世界を破滅へと導くことになった佐伯と武藤の工作員コンビなのですが。結果として破局を招くことになったのは「真実を知らなかったのだから仕方がない」ってのは免罪符になるのか、という議論はこの際置いておくとして。
何より許せないのは、この二人がよりによって同朋である年端もいかない、それも一般人の少女を人質に利用して脅迫行為に手を染めたこと。さらにはその少女を意図的に命の危機へさらしたこと。これに尽きます。目的は手段を正当化することがあるとしても、さすがにこれは私的NGです。私の中のゴーストが強くそう囁くのですよ。――幼女傷つけるダメ絶対。戯言ですが。

ただまあ、その少女――沙耶は無事だったわけですが。沙耶とフィアが出会ったシーンでは思わず涙腺が緩みかけましたねぇ。思えばWBで泣きそうになるのも久しぶりです。(※旧エピソード再読時は除く)
シティ神戸崩壊の直接の原因がフィアでないことを、頭では理解していても感情が付いてこずフィアを殴ってしまった沙耶ですが、その後でフィアに謝りながら懸命に自分を抑えようとする姿が印象的でした。人間らしい、と言うのでしょうか。「人は聖人君子にはなれない。だが、少しでもそれに近づこうと努力することはできる」とは誰の言葉だったか。それを思い出しましたねぇ。
沙耶の存在こそが今回のエピソード唯一の救いのような気がしてなりませんよ。

で。

最終的に人類側と魔法士側の対立は決定的となってしまい、世界はニューデリーを除く五つのシティによる連合軍VS賢人会議の戦争が勃発するわけですが。
……あー。私、六年くらい前にWBの二次創作小説でシティ連合の設定をブチあげたことがあるのですが、まさか本編ではこんな形で実現することになるとは思いもよりませんでした、というか想像したくもなかったです。はい。悲惨すぎますって。

とまれ、リンリーさんや月夜の言葉を借りれば、これが「人類の選択」になるのでしょうねぇ。……ほんと、やれやれだ。それ以外に言葉も無いですよ。カリムやリチャードが本編で語っていた絶望感と徒労感がよく分かります。アムロ、今すぐ人類に英知を授けてくださいな。ガンダムの力でもどうにもなりそうにないくらい愚かな人類ですが。

ってか、あまりにも人類側に救う価値が無さ過ぎるのが問題なのですよねぇ。
なんせ、あの悪名高いファクトリーシステムを大多数の人類が支持しちまうんですから。特にマサチューセッツとベルリン、おまいらはもうダメだ。魔法士の命をただただ消耗品の電池として扱う「非人道的」ファクトリーシステム。その実態を理解した上で使うのを躊躇わないと言うのなら、もはやおまえらは人間じゃない別の何かだ。そういう意味では、もう地上に人類なんて僅かばかりも残ってないんじゃないでしょうかねぇ。人類という種は滅びる前に滅びている、と。ほんと、やれやれだ。

もうこのまま賢人会議が戦争に勝って人類が滅びてしまっても、私個人としてはオールOKかなと思います。人類いらねぇ〜。
沙耶を含む僅かに残った良心的人類は、しばらくの間だけ宇宙に避難していればいいんじゃないでしょうか。軌道エレベーターでもなんでも使って。うん、それがいいw

ここまで魔法士が人類により排斥されることになると、シティに住む魔法士達の安否が気になりますね。特に、イル。まあ、プランナーがいる限りは大丈夫だとは思いますが。ペンウッド教室の面々も、リチャード先生がいればどうにかなると思いたいです。次のエピソードで暗殺とかされたらどうしましょ。そうならないよう、皆でニューデリーに亡命して世界再生機構に入るって線が濃厚ですかねぇ。

そんなこんなで、もうどちらに転んでも絶望しか待ってないようなWB世界ですが。果たして、この先に希望はあるのでしょうか。
まあ、あるとしたらただ一つ。


――錬。
おまえなんだ、錬。
世界を破滅の運命から救う、その「可能性」を持っているのは、もうおまえだけなんだ天樹錬。


というわけで、ここに来てようやく主人公の出番となりましたねぇ。
ま、新刊のラストで引きニートになっちまいましたヘタ錬くんですがねー。
もう、ほんと頼むよ錬。ここでやらなきゃ主人公じゃぁないぜ。
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コメント
こんばんはー。
思い立ったが吉日と、感想書き終えた人間がここに。
とりあえず錬はへたれる暇すらなかったな、と。

WBの新刊が出るたびに、同じラノベを読んで、ここまで違う感想を抱く事に改めて驚かされています。

えーと、佐伯准尉に武藤上等兵が沙耶を人質にした事に対してお怒りのようですが、七祈さん、以前真昼に対して「駒がないなら駒を作る」って点を評価してませんでしたっけ?
「使える手段がないなら何でもいいから使う」という点に関しては、真昼も佐伯准尉に武藤上等兵、どちらも本質としては同じだと思うのですが…まぁ、対象が幼女だと話が変わってくるのかもしれませんねw

後、私の場合、リン・リーのやり方が汚かろうとも、自分の命を危険に晒すような真似をしてでも物事を遣り通す人の方が好感もてますかねぇ…寧ろ魔法士達が命がけで戦ってる中で安全地帯で指くわえて見てる真昼の方が汚いと思います。まぁ、そこは人それぞれの感じ方でしょうけど。

そして、人類に対して絶望されてるようですが、その意見、どっちかっていうとCCAシャアよりのような^^; となると私は「あなたほどいそぎすぎていなければ、人類に絶望もしちゃいない」と返せばいいんでしょうか?
……まぁ冗談はさておき、ファクトリーシステムっていうかマザーコアが非人道だなんて、誰も彼もがとっくにわかってるじゃないですか。一巻の終盤の神戸市民も、マザーコアの真実を知って泣いていましたし。
一巻で静江さんがいってたけど、マザーコアがなかったら人類揃って一日足らずであの世行きです。
作中で言われてますが、力なき市民にとっちゃ、30年後の事よりも明日のパンのほうが大事。例え何をしてでも生き延びる事が絶対条件。というか、それが『一般人』の目線で当たり前だと思います。
そこには私利私欲などない。生きるために、この非人道と分かっているシステムを使わねばならない――そうであったはずです。
最も、マザーコアが生み出すエネルギーは膨大であり、世界が平和であったとしても、悪用する輩が絶対に出てきそうだとは思います、それはそれでまた別問題ですが。
| 画龍 | 2014/03/03 1:31 AM |
どうも御無沙汰しております画竜さん。

コメントにつきましてはまったく仰る通りですね。物事の感じ方は人それぞれ、同じ物語を読んでいても異なる感想があって当然と思います。今回の場合は、どのキャラクターにより感情移入しているかでおのずと感想も変わってくるのでしょう。

ご理解いただきたいのは、上記のレビューはあくまでも私個人の感想であり、決して他の読者様に対しその感じ方を強いる類のものではないということです。所詮は“ブログ”という名の独り言置き場にある駄文に過ぎませんので。それと、半分くらいはネタとその場のノリで書いているということ、それだけです。

コメントどうもありがとうございました。


いずれにせよ客観的な事実だけみるならば、真実を黙殺し先制攻撃という形で戦争を仕掛けたのは人類側です。賢人会議はただそれに反撃しただけのこと。
そもそも、賢人会議には人類と戦争することも、ましてや即座に滅ぼそうとする必要性も無いのであって。わざわざそんなことをせずとも、あと三十年もすれば自動的に人類は滅亡するのですからね。その後で魔法士たちは雲を除去し、地上の楽園を築けばいいだけの話です。

滅亡を回避する唯一の道を閉ざしたのは人類側です。それは未来のパンよりも今のパンを選んだ結果であり、人類が「今を生きるため」に「仕方がない」ことだというわけで。

であるならば、賢人会議が「今を生きるため」に人類を滅ぼそうとするのもまた「仕方がない」ことなのでしょう。悲しいことですが、それが戦争というものなのだと。

その「仕方がない」を「仕方がない」で終わらせないために、世界再生機構の魔法士たちは足掻くのでしょう。何もかも諦めて戦争を選んだ世界に対し、「それでも」と言い続けるために。その中心に立つ主人公として、次のエピソードの錬に期待しています。

叶うはずのない夢を見た真昼の意志を受け継ぐ二人の魔法士――「可能性の魔法士」である錬とサクラの二人が再び手を取り合い、終わる世界へ未来をもたらすグランドフィナーレを、あと何年かかっても待つことにします。まあ、待つ時間は短いに越したことはないのですが^^;

以上、とりとめのない感想の補足でした。
| 七祈 | 2014/03/03 9:32 PM |
良心的人類って誰がどういう基準で判断するんですか?


あと、今の利益と効率優先の畜産業に非人道であると異議を唱える動きもありますね。
しかしまだまだ少数派。
何だかマサチューセッツのファクトリーを彷彿とさせます。
| すぇるぁるぁるぁ | 2014/07/19 12:50 AM |
>すぇるぁるぁるぁ様

「良心的人類」のくだりは茶化して書いた部分なので冗談半分と受け取っていただければ幸いです。
まあ、起動エレベーターうんぬんの設定はエピソード1以降まったく出てこないので、現実性に乏しい解決策だとは思いますがね。

それと、畜産業の話ですが。
「人道」とか「非人道」って誰がどういう基準で判断するのですかね。畜産業が効率重視で非人道的ならプランテーション農業は? 植物だって同じイキモノでしょうに。
少なくとも私には分かりかねます。

コメントどうもありがとうございました。
ではでは。
| 七祈 | 2014/07/20 10:13 PM |
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